I'm so happy !

ただの俳優のオタク。

もし推しが芸能を辞めたら。


阿久津くんが芸能を引退した。
わたしは「ほう」と思って、そのあと「妖とは幻だったのだ」と呟いた。

 

阿久津くんには去年の夏よく会った。天使が参加していたアイドルグループのプロデューサーであったからである。なぜか共通の知り合いがいたので、握手会ではその話ばかりしていた。阿久津くんは良い意味でも悪い意味でもおたくだった。あんまり芸能にはいないタイプだ。自分に自信がないから、周りに認められたいと思うタイプ。
女装や変なかっこうは、彼なりに世間と戦っていたんだなと思う。カラコンで涙を流しながらイベントに出ていた日があって、コンプレックスがなにかしらあるんだろうと思った。
阿久津くんは去年の夏推されていた。その彼がアイドルのプロデュース。これは踏み台にされるなと直感した。そのアイドルは短い間に仕事をぎっちりと組まれ、もう完売しているイベントにゲストで出たり(怒り狂った。行ったけど。)、雑誌に出まくった。ずいぶんとPR過剰だったし、驚きのCD売り込みだったので、なにかあるんだろうなあと思っていたが、そんなものはただのファンには関係ないので、黙ってCDを買い、10分程度しか出ないイベントにも通った。天使は普通に舞台もあったし、まじでこの辺りはどうやって生きていたのか記憶があまりない。忙しかった。全部通うのすら体力的にしんどくて、わりと泣いた。
阿久津くんがこの時期のイベントで、「自分にはあまり友達がいなかった。D2はいっしょにお弁当を食べてくれてすごくうれしかった」と言って泣いているのを見て、あんまり生きるのが上手じゃないのかな、と少し心配になった。わたしもそうだが、おたくというのは小さいコミュニティにこもりがちなものだ。だからこそ、辞めるなんてとても意外だった。
彼はまだ若い。ちゃんと大学にも行っているし、交友も広い。なんにだって可能性がある。それでも寂しいと思ってしまうのは、おたくのエゴなんだろう。
妖を作るきっかけとなったドラマのキャストのなかで、実に三人が芸能を辞め、天使はフリーとなった。芸能なんてどう転ぶかわからない仕事を続けるかは本人の自由だ。阿久津くんはこの先の人生を見つめている。

 

あの虎ノ門に通った夏が夢みたいに思える。わたしは全然変わってないな。

 


もし推しが芸能を辞めたら。
考えただけで苦しくなる。きっと自暴自棄になるし、なにもできなくなるだろう。逆に冷静になるかな?どうかなあ。わたしは天使がいつ辞めてもいいように、一つの現場も逃さないようにしている、つもりだけど、それでもきっと後悔するだろうな。
どうしたらいいのかなあ。
ファンって儚い。いつだって両者は一方的だ。悲しいけれど仕方ない。それでも天使が好きだから、天使に会いたいと思う。それだけ。